のど黒の柚庵焼き
中学生の頃、隣の席に座る友達のお弁当には美味しそうなエビフライやハンバーグが盛り付けられていました。私の母が作ったお弁当も、もちろん美味しかったのですが、頻繁にのど黒やマナガツオが入っていました。もちろんそれらは十分に美味しいのですが、13歳の私にはエビフライの方が美味そうに見えたのは事実です。 ある日、意を決して友人にのど黒とエビフライの交換を申し出たところ、快く承諾してくれたのです。喜びに堪えられない私は一口で食べたのですが、想像していたよりも感激しなかったのです。一方でのど黒を食べた友人は「こんな美味い魚、初めて!」と驚いている様子。それが、初めて料理屋の息子であることを自覚した瞬間かもしれません。 そして、料理人になって金沢に戻り、家業である日本料理『銭屋』の味で最も長く経験している食材が「のど黒」であることに気がつきました。以来、海外で料理する際はできる限り「のど黒」を持参してメニューに載せ続けています。レシピは先代の頃から変えていません。
材 料
のど黒 | 1 尾 |
カダイフ | 適量 |
木の芽 | 適量 |
揚げ油 | |
柚庵地(つけだれ) | |
酒 | |
濃口しょうゆ | |
みりん | |
柚子の輪切り | 2~3 切 |
柚子の絞り汁 | 適量 |
工 程
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Step
柚庵地(つけだれ)を作成する。 酒:5 濃口しょうゆ:3 みりん:2 の割合で、そこに柚子の輪切り(2~3 切れ)柚子の絞り汁を加える。
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Step
ノドグロを三枚におろし骨を抜く、かなり薄く塩をあて、水分と生臭さを取る。
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Step
表面に出た水分を拭き取り大体70グラムにカットしてうす塩をあてる。
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Step
作っておいた柚庵地に約10分~15分漬ける。 (魚の状態や鮮度によって時間を調整)
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Step
柚庵地に漬けたのど黒に串を打ち 炭火で焼く。
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Step
サラダセロリを茎だけにして小さめにカットする。 先程の漬けたれにさっとくぐらせ器に盛る。 その上にノドグロを置き低温の油で揚げたカダイフをこんもりと盛り付け、 粗めに叩いた木の芽を上から散らして出来上がり。