長崎料亭「春海」のはとし

今 英之
A_RESTAURANT
国登録有形文化財でもある長崎市鍛冶屋町の老舗料亭「春海(はるみ)」が2019年3月で幕を閉じました。私たちは、その最後の日に立会い、女将から92年続いた「春海」という料亭の考え方をお話いただきました。また、女将さんと調理場の女性の方々に長崎名物「卓袱料理(しっぽくりょうり)」を丁寧に教えていただくという貴重な体験をしました。「春海」にはこれまで男性の料理人がいたことがなく、自分が最初で最後であると聞いて、緊張してしまいました。卓袱料理のなかでも衝撃的だったのが、食パンの間にエビなどのすり身を挟んで油で揚げた『はとし』でした。なぜなら自分は長年いろんな場所や調理場で仕事をしてきましたが、“海老のすり身に砂糖をいれる”ということが初めてだったからです。聞けば長崎の味付けは甘味が強く、卓袱料理は大皿で提供する為、そのまま食べられる様に味を付けているとのこと。話を聞いて合点が行ったものの、口にするまでには半信半疑でした。でも一口食べさせて頂いた、ふわっとほんのり甘い海老のすり身とパンの絶妙な味に一気に虜になりました。このこのレシピは後世に伝えて行くべきだと思い、今回の料理の一品としました。

材 料

海老 400 g
すり身 130 g
大和芋 50 g
食パン 1 枚
卵白 1 個分
砂糖 25 g
7 g

工 程

  1. Step

    すり身をあたりばちで当たり、大和芋すりおろし、卵白を入れ混ぜ合わせる。

  2. Step

    海老をフードプロセッサーにかける。この時完全にすり身にせず海老の食感が残るように粗めにかける。

  3. Step

    ①のすり身に②の海老のすり身を入れ、砂糖と塩を入れ味を整える。

  4. Step

    パンの耳をカットし、麺棒などで軽く伸して空気を抜く。

  5. Step

    すり身をパンに塗って丸い形に巻き、160度の油で揚げ、1/3にカットする。味はついているのでそのまま器に獅子唐と一緒に提供する。

今 英之 今 英之

世界中からシェフがやってくるカルーセルスタイルのレストラン。あらゆるジャンルを代表する最高峰のシェフが集まり、まったく新しい料理体験を生み出す食のミュージアムです。世界最高峰のシェフのレシピからお母さんのレシピまで、様々なレシピを通じて、過去、現在、未来の食の歓びを生み出します。

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